LINEでメッセンジャーサーバ開発を担当しています。
以前の記事「メッセージの安全性新時代:Letter Sealing」にて、LINEの1:1トークにエンドツーエンド暗号化(End-to-End Encryption、E2EE)を実装したことをお伝えしました。それ以降もLINEは、より多くの機能にLetter Sealingを適用拡大するために多大な努力を続けてきました。今回の記事では、これまでの取り組みをご紹介したいと思います。 適用拡大による改善点 1:1トークでLetter Sealingがデフォルト有効化される より安全にサービスをご利用いただけるよう、1:1トークでLetter Sealingがデフォルトで有効化されました。これまではユーザーが必要に応じてLetter Sealingオプションをオンに設定する必要がありましたが、現在はユーザーがオフに設定しない限りLetter Sealingがデフォルトで有効化されています。 最初から全ユーザーを対象にLetter Sealingをデフォルトオンで提供しなかった一番大きな理由は、iOSのプッシュ通知方式のためでした。LINEは、受信したメッセージ内容の一部をプッシュ通知でプレビ
LINEでセキュリティに関する業務を担当しています。
はじめに こんにちは。LINEでセキュリティに関する業務を担当しているMJです。以前こちらの記事で、LINE初の試みである「LINE Bug Bounty Program」について紹介いたしましたが、今回、改めて内容を振り返りながら、その結果について書かせていただこうと思います。 LINE Bug Bountyは、8月24日から9月23日までの約1ヶ月間で行われ、その期間に発見した脆弱性を報告してくださった方には、最高で1件20,000米ドル(約240万円)をお支払いするというプログラムです。このような制度は国内ではまだ実施例が少なく、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、LINEではユーザーの皆様により安全なサービスを提供したいと考えており、そのための取り組み、制度のひとつとして、今回のBug Bounty Programを実施しました。 本プログラムは我々にとっても初めての試みでありまったくの未知数だったのですが、結果的に194件の報告を受け、XSS、CSRFなど計14件をクリティカルな脆弱性として対応させていただきました。また報告件数の半分以上は日本国外からのものであり、海外